1.私たちの「共生」

自然との共生

人もまた、自然の一部として


私たちの暮らしは、自然から切り離されて成り立っているものではありません。

日々口にする食べ物も、暮らしに欠かせない水やエネルギーも、家を形づくる木や土などの素材も、もとをたどれば自然から受け取ったものです。
太陽の光、季節の風、降り注ぐ雨、土の中の小さな生き物、長い時間をかけて育つ森。私たちは、さまざまな自然の働きに支えられながら暮らしています。
けれども、便利になった現代の生活では、自分たちの暮らしが何によって支えられているのかを、感じにくくなっています。

人間は、自然の外側にいるのではありません。
自然の恵みを受け取り、その循環の中で生かされている存在です。
そのことを忘れず、自然との関係を暮らしの中に結び直していくこと。それが、私たちの考える「自然との共生」の出発点です。

守ることと、使うことを切り離さない

自然との共生という言葉から、自然にできるだけ手を加えず、そのまま残すことを思い浮かべる方もいるかもしれません。
もちろん、人の手を入れずに守るべき自然もあります。
一方で、人が植え、育ててきた森は、手入れを続け、育った木を適切に使い、再び次の森を育てることで、その循環をつないでいくことができます。


木を植える。育てる。伐る。使う。そして、また植える。
森から受け取った木を、柱や梁、床や壁として家づくりに生かし、長く大切に使っていく。その営みが森を育てる仕事につながり、次の世代の木を育てる力になります。

自然を守ることと、自然の恵みを使うことを、別々のものとして考えない。
一方的に使い尽くすのでも、ただ遠くから眺めるのでもなく、恵みを受け取り、暮らしに生かし、手をかけながら未来へ返していく。
私たちは、そのような関係を目指しています。

その土地にあるものに耳を澄ます

自然との共生は、森や木材のことだけではありません。
土地には、それぞれ異なる自然があります。
光の入り方、風の通り道、水の流れ、地面の高低差、そこに育つ植物や生き物。さらには、その土地で人々が重ねてきた暮らしや、受け継がれてきた知恵もあります。
家を建てるとき、土地を白紙のように扱い、人間の都合だけでつくり変えてしまうのではなく、まずはその場所に何があるのかをよく見ることが大切です。

夏の強い日差しをどのように遮るのか。
冬の光をどのように取り込むのか。
風はどこから入り、どこへ抜けていくのか。
雨水はどこへ流れ、庭の植物や土にどのように巡っていくのか。
その土地の声に耳を澄まし、もともとある自然の働きを生かすことが、地域の風土に根ざした家づくりにつながります。

家を、自然との接点にする

家は、暑さや寒さ、雨や風から人を守るための場所です。
しかし、自然を完全に閉め出す箱である必要はありません。
安心して過ごせる室内環境を整えながら、朝の光や季節の風、雨の音、木々の移ろいを暮らしの中に招き入れることができます。

窓から庭の緑を見る。
軒下で雨の音を聞く。
無垢の木に触れ、その香りを感じる。
土間で庭仕事の道具を手入れする。

自然とつながる暮らしは、特別な場所へ出かけたときだけに得られるものではありません。日々を過ごす家の中に、小さな自然との接点をつくることから始まります。

家の内と外をはっきりと分けるのではなく、その間に緩やかなつながりをつくる。
家と庭、暮らしと季節、人と自然の関係を丁寧に整えていくことも、私たちの家づくりの大切な役割です。

受け取った恵みを、未来へ返す

家づくりには、たくさんの自然の恵みと、人の手が使われています。
だからこそ、建てた家をできるだけ長く使い続けることも、自然との共生の一つです。

古くなったから壊すのではなく、傷んだところを直し、手を入れながら住み継いでいく。
木を育てる人、木を挽く人、家をつくる人の技術を受け継ぎ、次の世代へ伝えていく。
一軒の家を長く大切に使うことは、資源の消費を抑えるだけでなく、森と地域の仕事を未来へつなぐことにもなります。

自然との共生とは、何か一つの設備や方法によって完成するものではありません。
どこの木を使うのか。
土地の光や風をどのように生かすのか。
家をどのように手入れし、どれだけ長く使うのか。
日々の一つひとつの選択を通して、自然との関係を結び直していくことです。

森から暮らしへ。
暮らしから、次の森と未来へ。

人もまた自然の循環をつくる一員として、その恵みを受け取り、育て、次の世代へ返していく。
それが、坂元植林の家が考える「自然との共生」です。

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