スタッフブログ

「めぐるめぐみ」と「パーマカルチャー」と「コンポスト」

今日は、7/12日曜日に開催予定の「生ごみコンポストづくり」に絡めて、
「めぐるめぐみ」「パーマカルチャー」「コンポスト」…などのことを書きたいと思います。

坂元植林の家のテーマのひとつに「めぐるめぐみ」という考え方があります。

「めぐるめぐみ」とは、
自然のめぐみを受け取るだけでなく、それを受け継いでつないでいこうという考え方です。
林業という、自然と密接な営みからヒントを得た考え方ですが、
自然界では、常にめぐみがめぐっています。
(もちろんここには自然から得られる物質的な恩恵だけではなく、
地域社会の関係性などさまざまな「めぐみ」を「めぐらせよう」という意図があります。)

自然界のめぐるめぐみについて話を戻しますが、簡単な言葉でいえば「循環」です。

例えば、雨が降ると、その雨は地面にしみこみ、その水を植物が吸い上げて生きています。
さらに、しみこんでいった水はゆっくり時間をかけて湧き出したり、染み出したりしながら、
沢を作り、やがて川となり、海に流れ込みます。
これら地表にあらわれた水は、太陽の熱で水蒸気として空気中に広がり、やがて雲となり、
雲が雪や雨となり、また地表に帰ってきます。

この水で育った植物を、
虫や草食動物が食べます。それをさらに肉食昆虫や動物が食べます。
生き物はみんなフンをしますが、このフンや生物の死骸を食べて分解してくれるのが、菌や土壌生物です。
死骸やフンがこれらの分解者によって分解されたものが、土を豊かにし、さらに次の命を育んでくれます。

この「めぐるめぐみ」は地球のあちこちで起きていることです。
1周して終わりではなく、ぐるぐる回り続け、その過程でたくさんの命を育みます。

地球は、46億年前からこの「めぐるめぐみ」を、さまざまに形を変えながらも繰り返してきました。
ある時は恐竜がいたり、現代では人間がそのサイクルの中にいます。

私たちは、このサイクルから離れては生きていけません。
コロナ禍のなか、なおさらこのことを考えさせられます。

コロナ禍の根本的な原因を、このサイクルの歪みに見る専門家もいるようです。
新型コロナパンデミックの原因は「人類が森林を破壊したからだ」

人間の体も、分解できない食べ物や飲み物ばかりではおかしくなってしまいます。
地球もきっとそうなのかもしれません。

ここのところ、わたしたち人類は「ウマい」「早い」「安い」につられ、
「循環しないけど便利なもの」を当たり前に思うようになりました。
確かに「循環しないけど便利なもの」のおかげで、いろんなことができるようになりました。

ですが、このサイクルを無視しがちになったせいで、すこしずつ溜まってきた歪みが、
近頃よく目につくようになってきたのかもしれません。

例えば、
地球温暖化・異常気象。
台風19号では柴田町も大きな被害がありました。
オーストラリアやアマゾンの山火事。
プラスチックによる海洋汚染。
…新型コロナもこの歪みの一部かもしれません。

地球に住んでいる限り、
無関係とはいえないこれらの問題のカギは、この循環なのではないでしょうか。

しかし、これだけ便利さに親しんできたので、
江戸時代やその前の生活を取り戻せといっても、かなり難しいと思います。

そうではなく、
これまでの長い歴史のなかで私たちが引き継いできた知識や経験・技術を、
まとめたのが「パーマカルチャー」という考え方です。

やや唐突に「パーマカルチャー」という言葉が登場しましたが、
これも坂元植林の家のテーマの一つです。
このパーマカルチャーの実践方法のひとつに「生ごみコンポスト」があります。

2020/7/12日曜は、この生ごみコンポストを作ってみよう!というワークショップを開催します。
坂元植林の家づくりに関心のある方はもちろん、
めぐるめぐみや、環境や自然に関心のある方に、
生ごみコンポストづくり、コンポストのある暮らしを通じて、
パーマカルチャーというものにも関心をもってもらえればと思って企画しました。

イベントページはこちらです。
事前予約制で組数限定としましたので、ご予約はお早めに。

昨年も数回開催しましたが、
コロナ禍の中でもありますので、1時間に1組の方だけの限定開催とさせていただきます。
1時間の中で、コンポストやめぐるめぐみについてのお話をさせていただき、
用意している材料でコンポストを作ってみます。
場合によっては、参加された方の暮らしに合わない場合もあるので、
その時は、コンポストのカタチを変えたり、縮小したり、材料の準備などいろいろと一緒に考えてみたいと思っています。

ここまで「めぐるめぐみ」「パーマカルチャー」「コンポスト」と話を進めてきました。

さて、住まいや身の回りを見渡して、循環しているものは、何がありますか?

意外と考えてみると見つからないものです。
めぐらせられるんだけど、めぐっていないもの
循環させられるんだけど、していないものが、実はたくさんあります。

このうちのひとつが「生ゴミ」です。
これは比較的簡単に循環させることができます。

家庭から出た生ごみは、
柴田町では月曜日と金曜日に集められ、角田市の仙南クリーンセンターに運ばれ、
焼却されてでた灰はスラグ化されて土木資材になったりしています。
また、処理の熱で発電もしています。最新式の設備で、灰を埋め立てなどしておらず、素晴らしい仕組みです。
ただ、処理の過程で、どうしても集めたりつぶしたりするのに車や重機が必要で、その燃料として石油を使用しています。

こういった設備や技術や燃料がない時代、たとえば日本では江戸時代など、これらのゴミをどう処理していたのでしょうか。

江戸の町では、江戸中から紙クズや金物クズ、生ごみから落ち葉まであらゆる「クズ」が拾い集められ、
クズ寄せ場で種類別に分別され、それぞれの専門業者がお金を払って引き取り、
再生紙や新しい金物、堆肥になっており、そのお陰で、江戸の町は、ごみの落ちていないきれいな町だったそうです。

また、自然界には、「ゴミ」というものがそもそも存在しません。

冒頭で、「めぐるめぐみ」について、
「林業という自然と密接な関係のある営みからヒントを得た考え方ですが、
自然界では、常にめぐみがめぐってい」ると説明しましたが、
自然界ではすべてがめぐり、無駄なものがないのです。

人間が勝手に食べにくい部分を「生ごみ」と呼んだりしているだけで、
自然の動物や昆虫、微生物、菌にとっては大事な糧なのです。

すべてが、食べられ、分解され、土の栄養となり、その地の生き物を育む糧になります。

ただ、現代的な暮らしの中で実際にやってみようと思っても、
・そもそも土が家の周りにない…、
・虫や臭いがでると困る…
・分別するのが大変…
など様々な理由で、土に返すのではなく、集めて燃やしているのが現状だと思います。

生ごみコンポストは、
自然の中で起きている微生物による生ごみの分解を、
効率よく進めることを狙った仕組みです。
現代の暮らしの中でも取り組みやすいように工夫されています。

コンポストといっても様々な種類があります。
コンポストトイレ、段ボールコンポスト、ミミズコンポスト、回転式コンポスト、電気式…というように、
世界中の事例を調べるともっともっと出てきそうです。

今回は、槻木駅西モデルハウスで採用している、「キエーロ型」を作ってみるワークショップを行います。

当日、より詳しく説明する予定ですが、
キエーロ型は、分解効率、容量、手間、メンテナンス、保温性、通気性など、
広い視点から見てとても優秀なコンポストだと思います。

一般的に、
家庭から出る可燃ごみの30%くらいが生ごみなのだそうです。
これがなくなると、
・ゴミ袋を変える回数が減る
・ゴミ袋を買う量も減る
といったメリットが考えられます。

ちなみに、生ごみの量は家族1人当たり約80kgと言われていて、
4人家族だと320kgものゴミの削減になります。
柴田町の指定ゴミ袋は30ℓが1枚40円です。
30ℓのゴミ袋に5kgくらいの生ごみをいれたとしてお金に換算すると、
年間2560円の節約になります。

また、ごみ箱から生ごみが無くなると、
・ゴミ箱から漂う腐敗臭
・夏場にでたりする虫
このあたりが軽減されるかもしれません。

もちろん
・栄養豊富で
・(使う土によっては)安全で安心な
たい肥が得られ、
家庭菜園をされている方はそのまま菜園に使うことができ、
家庭菜園をしていない方も、
コロナ禍のおうち時間を使って家庭菜園を始めるきっかけになるかもしれません。

また、これは一部の話ですが、
生ごみとしてコンポストにいれた種が発芽し、
無料で苗を手に入れられることがあります。

私も先月、カボチャの苗を6つも手に入れました。
カボチャの苗は1つ100円くらいだと思うので、600円の儲けです(笑)

また、自分も家庭菜園をやっていて思うのですが、

野菜を育てることで、
・うまくいったり、うまくいかなかったり、
・それによって喜んだり悲しかったり、
・近所のおばあちゃんに育て方のコツを教えてもらったり、
・梅雨がありがたかったり、たまには晴れてくれよと思ったり、
いろんなことが起こって楽しいです。

そして何より、「めぐるめぐみ」「循環」を暮らしの中で体験できる。ということ。
これが一番だと思います。
坂元植林の家では、自社山林を案内をする際や、モデルハウスのご案内の中で、
「めぐるめぐみ」という言葉を使うことがありますが、
生ごみコンポストは、とてもシンプルに「めぐるめぐみ」を体験することができます。

私には、1歳の娘がいるのですが、
最近は、家のウッドデッキのプランター菜園で、
・イチゴをいつのまにかつまんで食べていたり、
・せっかく手に入れたカボチャの苗をひっこ抜かれたり、
・カモミールを握りつぶされたり、
いろんなことが起きています。

さっき引っこ抜いた苗が、
コンポストからひとりでに出てきたカボチャだということは、
まだわからないと思いますが、
そんな経験の積み重ねが、彼女の価値観を作っていくのだと思うと、
悪くないと思っています。

だいぶ長くなりましたので、今日はこの辺まで。

気になった方は、槻木駅西モデルハウスにお気軽に遊びにおいでください。