みなさんゴールデン・ウィークは、いかがでしたでしょうか?
経営企画室兼技術部の生守(いくもり)です。
ゴールデン・ウィーク中に熊本・大分で発生した地震の被災地を視察してきました。
東日本大震災から5年が過ぎ、今度は九州の熊本・大分を震源とした地震が発生しました。
熊本地震では、多くの建物が被害を受け、倒壊した建物もあり内陸部地震の恐ろしさを目の当たりにしました。
今回の被災状況の写真を撮ってきましたのでご紹介します。
震源地である益城町の中心部が、最も大きな被害を受けています。実際に見て回った印象としては、揺れによる建物の被害はもちろんですが、地盤そのものが動いたことにより、陥没や隆起が起きているという印象でした。
熊本市内ではビルの被害も多く発生しています。1階に耐力壁(地震や台風などの際に、建物に対して横からかかる力(水平力)に対抗するための壁)が少ないために起こった被害でしょう。
被害にあった建物の多くは、「新耐震基準」以前の建物であると考えられます。被害の内容としては、半壊・全壊といった大きな被害がたくさんみられました。
「新耐震基準」とは、昭和53年の宮城県沖地震を契機に、昭和56年に建築基準法が大改訂され、「新耐震基準」として制定されたものです。
この大改定の前後の違いを一言で説明するのは非常に難しいのですが、この改定以降に建てられた建物は、耐震性能に関する一定の強度を持つようになっています。
つまり、「震度5強程度の地震ではほとんど損傷しない建物であること」、「震度6強から7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しない建物であること」が求められるようになっているのです。
具体的に例を挙げれば、筋交い(下の写真)のような、壁を頑丈にする部材を改定以前よりも多く使用し、地震に強く作ることが義務付けられた、ということです。
↓こちらの写真は、被害の甚大だった熊本市北区にある戸建ての木造住宅の内部です。
この建物は新耐震基準に適合する建物で、外部や構造の損傷もほとんどなく、内部のクロスにひび割れがある程度の被害で済んでいます。一部のメンテナンスのみで済み続けられる状況でした。
新耐震基準に適合するか否かで、ここまで被害に差が生まれるものなのですね。
また、熊本のシンボルである熊本城も被害が大きく復旧までに何年掛かるか分からない状況です。
熊本の人達も、まさか自分達がこんなことになるとは夢にも思わなかったと言っていました。
天災は、いつ・どこに起こるか分からないという事実を、改めて思い知らされました。
私たち建築に携わるものとして、人々の命を守る建物を、真面目に造りあげるという使命感を痛切に感じました。
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