「おきび」って漢字で書けますか?
こんにちは。技術部の安倍です。
突然ですが、実は私、
学生時代に漢字マスターでした。
かなり漢字にはうるさい方でして、
昔取った杵柄ではありますが、
漢字検定一級も持っています。
最近、3歳の息子が漢字の勉強を始めました。すごく嬉しいです。
今回はそんな私が、
住まいと漢字について省察する旅に
みなさんをお連れしたいと思います。

↑息子
ペチカの「おきび」
もうすぐ寒い冬が明け、春になります。
そうはいってもまだ午前中は、
寒さが残りますので、
さとのえではペチカ(暖炉)を焚いています。

もう少しすれば、すっかり暖かい季節になり、
火を焚く必要もなくなってくることでしょう。
ペチカは、薪ストーブの炉内で薪を燃やし、
その熱をレンガの煙道内部に蓄えていくことで、
煙道が温まりきれば
薪を燃やさずとも長時間にわたって
部屋を輻射的に暖めてくれる仕組みです。

煙道が温まりきれば、
炉内に新しい薪を投下せずに、
「おきび」にしておきます。
キャンプでの調理や焚き火でも
最初は炎をあげてメラメラ燃やしますが、
薪や炭が真っ赤になっていく、
この「おきび」の状態に持っていきますよね。

ここで、読者のみなさんに質問ですが、
「おきび」と聞いて、パッと漢字が思い浮かびますか?
答え合わせ
答え合わせをする前に、
実は私が間違えて理解していた話をしましょう。
私は暖かい地域で生まれ育ったので、
薪ストーブのようなものが身近になく、
キャンプファンでもなかったので、
火の扱いについてそこまで慣れたものではありませんでした。
薪や炭が真っ赤に燃え静かに熱を発する状態を
「おきび」ということも、
恥ずかしながら私は知りませんでした。
東北に来て初めての冬、
薪ストーブの火は「おきび」にしていき、
そうなると火が長く持つことを教わりました。

そんな私ですから、
「おきび」という言葉を初めてきいたとき、
火を置いておくから「置き火」だと思っていました。
「置き火」だと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
残念ながら、不正解です。
漢字マスターとして、間違えて理解していたことは面目ないです。
答え合わせをしましょう。
正解は、
「熾火」
です。
熾火
火へんに、つくりは識や職と同じ「音」と「戈」で「熾」。
なんだか格好良いですね。
読み方は訓読みで「さかん、おこす、おき」
音読みで「シ」
熾火以外に、「熾烈(しれつ)」といった熟語が
知られているのではないでしょうか。
その戦いは熾烈を極めた。とか言いますよね。
「さかん」という読みからも分かるように、
火の勢いが盛んなさまを表す漢字です。
「熾火」も
薪や炭が真っ赤に輝きながら熱を放つ、
盛んに燃える様子を表した熟語なのですね。
ほかに、「燠火」と書くこともあるようです。

熾火について知る
漢字の話はさておき、せっかくなので
熾火についてもう少し詳しく知りましょう。
こちらの記事を参照しました。
>>焚き火の最終形態「熾火」を極める|数値でわかる火加減と安全術
熾火は、
薪や炭が真っ赤に輝きながら遠赤外線を放ち、
煙を最小限に抑えつつ安定した熱を
供給してくれる状態のことをいいます。
燃え上がる炎が主体の可燃反応とは違い、
熾火は遠赤外線を大量に発し続ける
固体燃焼段階だそうです。
調理のしやすさ、温度の高さ、
煙が出ない、燃費、安全性の点で
優れています。

熾火の由来の話
さて、漢字の話に戻りましょう。
元々中国で「熾(シ)」という漢字は火が激しく盛んに燃える様子を表していたわけですが、
なぜその「熾(シ)」に「おき」という訓が当てられたのでしょうか。

それを知るために、なぜ火勢が強くて赤く熱した炭火のことを「おき」というのか、
由来をネットで調べてみました。
しかし、
手の上に置いた火をおきびといった説。
起こした火がおきびになった説。
諸説あって、定かではなさそうです。
「熾(シ)」には「おこ(す)」という訓も当てられていますから、
元々起こすというニュアンスに近かったのかな、と考えましたが、
現代では、火をおこすときには、「火起こし」と「起」が使われます。
火を発生させる意味での「起こす」とはやはり明確に区別がありそうです。
火を発生させる意味での「おこし」と
薪や炭が真っ赤に輝きながら盛んに燃える意味での「おこし(おき)」とで
由来は近そうなのに、明確に区別されているのが、面白いと感じます。
このあたりが、漢字マスターの浪漫心をくすぐります。
「熾火」のような人間を目指す
熾火について調べていたら、
この「熾火」という単語が好きだという方やブランド名・ハンドルネームにしている方が散見されることに気づきました。

熾火は生活に与えてくれる恩恵の大きさもさることながら、
一見燃え尽きているように見えてはいるが、未だ内面に熱を秘めている状態も象徴的であります。
熾火の、そんな側面に憧憬の気持ちを抱くのでしょう。
私も、その気持ちがすごくよく理解できます。
熾火。改めていい言葉だな、と感じました。
昔の人々は、こうして、火をみながら、いろいろと思索に耽ったのかな。

熾火のように内面に熱を秘めながら、
さとのえの魅力の伝え方を考えていきたいと考える、
漢字マスターの安倍でした。
今後も気になる暮らしと漢字のテーマがあれば
紹介していきたいと思います!
なお、今回のブログは、もりのわの一部抜粋記事となります。
ぜひ本編の方もご覧いただければと思います!








