第3回 山から暮らしまで──「木材の一貫体制」がつくる住まい

東北大学福祉建築学研究室 鳥山拓実さん「坂元植林の家」見学レポート③

これまで2回にわたり、東北大学福祉建築学研究室の院生、鳥山さんによる見学レポートをもとに、モデルハウス「さとのえ」や、木材づくりへのこだわりをご紹介してきました。

最終回となる今回は、鳥山さんが最も印象に残ったとまとめてくださった「木材の一貫体制」についてご紹介します。

私たちが大切にしている家づくりの考え方が、そこには凝縮されていました。


木を知っているからこそ、できる家づくり

見学の最後に訪れたのは、村田木材センターです。

ここには、製材・乾燥を終えた木材が集まり、一本一本仕上げられ、建築現場へと送り出されます。

製材され、時間をかけて乾燥された木材は、そのまま現場へ運ばれるわけではありません。

最後に訪れた村田木材センターでは、乾燥によって生じたわずかな反りやねじれを整えるため、プレーナーによる最終加工が行われているのです。

鳥山さんは、この施設を単なる「木材の保管場所」としてではなく、「製材から現場までをつなぐハブ」と表現してくださいました。

また、通常の木材だけでなく、特に品質の高い材を選び、大切にストックしていることにも着目されています。

山で育った木は、それぞれに木目や色合い、強度が異なります。

その個性を知ったうえで、将来どの住まいで活かすのかを考えながら管理できるのは、山・製材・乾燥・加工・建築までを一貫して手掛けるサカモトグループならではの強みです。

一本の木を、最後まで責任を持って丁寧に活かしていく。まさに、適材適所です。

その積み重ねが、一棟一棟の住まいにつながっています。


「木材の一貫体制」が生み出す価値

鳥山さんはレポートの中で、この仕組みを「木材の一貫体制」と表現し、その価値について深く考察してくださいました。

一般的な住宅づくりでは、製材・乾燥・流通・設計・施工がそれぞれ別の会社によって行われることが普通です。

その一方で、サカモトグループでは、木が山から伐り出され、製材され、乾燥され、加工され、住まいになるまでをグループ内でつないでいます。

鳥山さんは、この一貫した仕組みがあるからこそ、品質の高い木材を適切なタイミングで活かすことができ、設計の自由度や材料の信頼性にもつながっていると分析されていました。

私たちが「地元の木を使っています」とお伝えすると、地域材を使うこと自体が目的だと思われることがあります。

しかし、本当に大切なのは、その木をどのように活かすかです。

一本一本の木を見極め、その魅力を最大限に引き出しながら住まいへ届けること。

それこそが、一貫体制で家づくりを行う意味だと考えています。


建築は「一つのシステム」である

レポートの最後に、鳥山さんはこんな考察を書いてくださいました。

建築を単なる「消費される工業製品」として捉えるのではなく、地域の自然環境や資源循環の仕組みから、実際の居住空間や地域コミュニティに至るまでを、一つの連続した「システム」として設計する姿勢こそが、今回の見学で得た最大の知見だった。

この言葉を読んだとき、私たち自身も改めて背筋が伸びる思いがしました。

家づくりは、建物だけをつくる仕事ではありません。

山を育てること。

地域の木を活かすこと。

職人の技術を未来へつなぐこと。

そして、その家で家族が心地よく暮らし、地域とのつながりが育まれていくこと。

そのすべてがつながって、初めて「住まい」が完成すると私たちは考えています。


学生さんの視点が教えてくれたこと

今回いただいたレポートには、建築を学ぶ院生さんならではの視点が数多く盛り込まれていました。

私たちにとって当たり前になっている日々の仕事も、第三者の目を通して見つめ直すことで、新たな価値に気づくことができます。

こうした学びの機会をいただけたことに、心から感謝しています。

サカモトグループでは、これからも山から住まいまでの取り組みを多くの方に知っていただけるよう、見学の受け入れや情報発信を続けてまいります。

建築を学ぶ方はもちろん、木のこと、住まいのこと、地域のことに興味のある皆さまにも、ぜひ一度その現場をご覧いただければ幸いです。

 


これまで3回にわたり、東北大学大学院 福祉建築学研究室の院生・鳥山拓実さんによる見学レポートをもとに、坂元植林の家の家づくりについてご紹介してきました。

鳥山さんのご厚意によりそのもととなった見学レポートを、全文公開いたします。

お読みになりたい方は、下記のメールアドレスに、レポートご要望の旨、お知らせください。

坂元植林の家 広報担当宛
sakamoto-shokurin@web-sakamoto.co.jp

※本レポートは、鳥山拓実さんの許可を得て掲載しています。著作権は執筆者本人に帰属します。転載・複製・二次利用はご遠慮ください。

書いた人

坂元植林の家 編集部

坂元植林の家 編集部

林業会社を母体とし、森林経営から木材加工、木造住宅の設計施工まで一貫して取り組む工務店として、森林・林業・木造建築・地域の暮らしに関する実務に基づいた情報を発信しています。