第2回 一本の木が家になるまで ― 木材づくりへのこだわり ―
東北大学福祉建築学研究室 鳥山拓実さん「坂元植林の家」見学レポート②

前回は、モデルハウス「さとのえ」を見学した東北大学福祉建築学研究室の鳥山拓実さんの視点から、自然とともに暮らす住まいについてご紹介しました。
今回は、竹の花製材所と上大原乾燥場を訪れた際のレポートをもとに、「木材づくり」についてご紹介します。

家が完成すると見えなくなってしまう部分ですが、その品質を支えているのは、一本の木と向き合う職人たちの仕事です。
一本一本の木を見極める製材
竹の花製材所では、丸太を一本一本見極めながら製材を行っています。

鳥山さんは、「大量生産ではなく、一本一本丁寧に製材することで、木の表情や木目を活かし、構造材から造作材まで、それぞれに最も適した役割を与えている」とまとめてくださいました。
節の位置や曲がり、傷の入り方は、木によってすべて異なります。
だからこそ、機械的に同じ寸法へ切り出すのではなく、その木が持つ個性を読み取りながら製材していきます。
時間も手間もかかる仕事ですが、それは一本の木を無駄なく使い切ることにもつながっています。
木を「材料」としてではなく、一つの命として活かす。
そんな考え方が、この製材所には息づいています。

木の魅力を引き出す「低温除湿乾燥」
製材された木は、続いて上大原乾燥場へ運ばれます。
ここで行われているのは、50~60℃という低い温度で約3週間かけて乾燥させる「低温除湿乾燥」です。

現在では、より短期間で乾燥できる高温乾燥も広く行われています。
高温乾燥は生産効率に優れる一方で、木材への負荷が大きく、色や香り、木が本来持つ性質を損なうことがあります。
一方、低温除湿乾燥は時間こそかかりますが、木への負担を抑え、色つやや香り、調湿性など、本来の魅力をできるだけ残すことができるのです。
鳥山さんは、この違いについて興味深い考察を書いてくださいました。
『生産効率という「時間的コスト」を犠牲にする代わりに、「製品の長期的な耐久性と意匠性」という付加価値を最大化する合理的な選択である。』
効率だけを追い求めるのではなく、住まい手が何十年も心地よく暮らせることを大切にする。
その考え方が、木材づくりにも表れています。

乾燥後の養生の様子
家づくりは、見えないところから始まっている
住宅について考えるとき、間取りやデザインに目が向きがちです。
もちろん、それらも大切な要素です。
しかし、その家を支える木材がどのようにつくられているのかを知る機会は、決して多くありません。
今回の見学を通して鳥山さんは、「効率ではなく、木材のポテンシャルを最大限に引き出す技術的合理性」がサカモトグループの強みであると分析してくださいました。
私たちが目指しているのも、まさにそこです。
一本の木を丁寧に製材し、時間をかけて乾燥させ、その木が持つ力を住まいへ受け継いでいく。
家づくりは、完成した建物だけではなく、そのずっと手前から始まっています。

次回予告
最終回では、木材センターの役割と、鳥山さんが感じた「木材の一貫体制」というサカモトグループの強みをご紹介します。
山から住まいまでを一つの流れとしてつなぐ仕組みが、なぜ持続可能な家づくりにつながるのか。
学生さんの考察とともにお届けします。
書いた人

坂元植林の家 編集部
林業会社を母体とし、森林経営から木材加工、木造住宅の設計施工まで一貫して取り組む工務店として、森林・林業・木造建築・地域の暮らしに関する実務に基づいた情報を発信しています。








