妻の夢から始まった、家族がのびのび暮らす木の家

仙台市青葉区 宮崎ファミリー

「最後は二人になるのだから、マンションのままでもいいんじゃないかと思っていました」
そう話すご主人様の秀一郎さんの隣で、奥様の恵菜さんが笑います。

恵菜さんは、ずっと以前から一戸建てで暮らしたいと思っていたそうです。木の家の写真をInstagramで見ながら、近隣の工務店を調べ、土地を探し、「一度見に行ってみよう」と秀一郎さんを少しずつ誘ってきました。

子どもたちが成長し、マンションでの暮らしが少しずつ手狭になってきたこと。そして、家づくりを現実的に考えられる見通しが立ってきたこと。

長い時間をかけて重ねてきたご夫婦の話し合いの先に、家族4人の新しい暮らしが形になりました。

 


木の家なら、暮らしてみたいと思えた

宮崎様ご夫妻が家づくりを考え始めたころ、恵菜さんはInstagramを中心に、県内のさまざまな木の家を見ていたといいます。
「もともと木の家がいいなと思っていました。素材感のある暮らしに憧れがあって」

一方で、秀一郎さんは当初、戸建てに強い必要性を感じていたわけではありませんでした。けれど市内の木の家の工務店の見学を重ねるなかで、「木の家ならいいかもしれない」と思うようになっていきました。恵菜さんの憧れが、秀一郎さんの心を少しずつ動かしていったのかもしれません。

そんな秀一郎さんと恵菜さんの家づくりの大きな転機となったのが、当時の坂元植林の家のモデルハウス「まちのえ」での宿泊体験でした。Instagramで目にした住まいの雰囲気に惹かれ、2023年9月、ご家族でご宿泊。大切な体験になったようです。


木の鳴る音も、家族の思い出になった宿泊体験

写真は当時のまちのえモデルハウス

宿泊した夜、木の家ならではの音に驚いたことを、恵菜さんはよく覚えているそうです。
「夜寝ているときに、バキッという何かが割れるような大きい音や、パキッとか、小さな音がして。私は気になって、実はあまり眠れなかったんです(笑)」
乾燥した木が、温度や湿度の変化のなかでわずかに動く音。木の家では時折聞こえる音ですが、初めての夜には少し驚くものかもしれません。

一方で、秀一郎さんと子どもたちはすっかり熟睡だったそうです。
「子どもたちとは、積み木でたくさん遊んだり、プロジェクターで映画をみたことを覚えています」

宿泊体験は、住宅性能や間取りを確かめるだけの時間ではありません。
その家で朝を迎え、子どもたちが遊び、食事をして、夜を過ごす。
朝、出かける前にはキッチンやお風呂、トイレの掃除までやってみて、木の家で暮らす日常を、なるべくそのまま体験する。
家族がそこで暮らす姿を、少しだけ先取りしてみる時間でもあります。

宮崎様ご家族にとっても、「木の家で暮らす」ということを現実のものとして感じられた、大切な体験になったようです。
こうした経験を経て、土地探しも含めて、坂元植林の家に相談していただき、木の家を建てることを決断されました。


森で木に触れ、手で刻まれる家を見届ける

坂元植林の家を選んでいただいた理由のひとつに、木そのものだけではなく、その背景にある坂元植林の事業への共感がありました。

「自分たちで木を育て、伐って、家にして、また植えて次の世代につないでいく。その流れがすごくいいなと思いました」
秀一郎さんは、そう話してくださいました。

家づくりの途中には、実際に森へ入り、伐採の場にも立ち会っていただきました。長い年月をかけて育った木に触れ、その木が倒れ、家の材料になっていく。
普段であれば、完成した住宅のなかでしか出会わない木材。その木が、どこで育ち、どのように伐られ、どんな人の手を経て住まいになっていくのか。その時間に触れることで、家づくりは少しずつ、ご家族自身の物語になっていきます。

伐採した木は製材所へ運ばれ、柱や梁、板材へと姿を変えていきます。丸太の表情を見ながら、どの材をどこに使うのかを考え、家のための材料として選んでいく。

焼杉をつくる現場も見学しました。板に火を入れ、表面を焼き、炭化させることで、外壁として長く使える素材にしていく。手間のかかる工程を目の前にすることで、住まいに使われる材料が、決して当たり前に用意されているものではないことが伝わってきます。

さらに、実際に大工が木を刻む手刻みの現場も見学しました。
一本一本の木の癖や表情を見ながら、柱や梁に墨をつけ、手道具や機械を使って継手や仕口を刻んでいく。あらかじめ規格化された部材を組み立てるのではなく、その家のために木を読み、その家のための構造をつくっていく仕事です。

こうした工程を見ていくなかで、当初は戸建てそのものに強いこだわりがあったわけではなかった秀一郎さんの気持ちにも、少しずつ変化が生まれていきました。

せっかく建てるなら、手刻みでつくる家にしたい。

森で木に触れ、丸太が製材され、焼杉がつくられ、大工の手によって刻まれていく。その一つひとつを見たことで、完成した建物だけではなく、家ができるまでの時間そのものに価値を感じるようになったのだと思います。

「先人が何十年も前に植えてくれた木を、自分たちが家として受け取る。そして自分たちの世代もまた、次の世代につながる森を残していく。そういうつながりを感じられることが、すごくいいと思ったんです」

森、製材所、焼杉の製造現場、手刻みの加工場、そして建築現場。

木が家になるまでの過程を知ったことで、完成後に見上げる天井の木目や、日々触れる柱や床にも、以前とは少し違う愛着が生まれているようでした。


家族と職人が顔を合わせる、節目の時間

家づくりには、設計以外にも様々な節目があります。

土地の神様に工事の安全を願う地鎮祭。柱が立ち、住まいの骨格が現れる上棟。そして、家づくりに関わる職人やスタッフが顔を合わせる時間。

宮崎様ご家族にも、地鎮祭や上棟の場にご両親が参加されました。

工事が始まる前は、まだまだ暮らしの姿は見えてきにくいものです。それでも、基礎ができ、柱や梁が立ち上がり、屋根がかかる。
その空間に立つと、「ここが家になる」という実感が急に現れてきます。

上棟時には、現場で日々作業にあたる大工さんとも顔を合わせました。
完成後には見えなくなる構造や、現場で進んでいく仕事に触れることで、誰がどのように家をつくっているのかが少しずつ見えてきます。

「現場に行くと、嫌な顔ひとつせずに中を見せてくださって、『今はこういう工事をしています』と私たちにわかる言葉で教えてくれました」
毎日、黙々と仕事を進めていた大工さんの姿や、訪ねるたびに丁寧に応じてくれた現場でのやりとりは、ご家族にとって安心感につながったそうです。

家づくりを任せるということは、完成した建物だけを受け取ることではありません。
森で木に触れ、地鎮祭で土地に願い、上棟で家の骨格を見上げ、現場で職人と会話する。
その一つひとつの時間が重なり、「建ててもらった家」が、少しずつ「自分たちの家」になっていきます。


一階で暮らしが完結する、これからのための間取り

宮崎様邸のプランで大切にしたのは、将来、夫婦二人になったときにも、一階で生活が完結することでした。
寝室、水まわり、LDK、和室。日々の暮らしに必要な場所が一階にそろい、必要に応じて二階も使える。
子どもたちが成長している今の暮らしと、これから先の夫婦の暮らし。その両方を見据えながら、住まいの形を考えていきました。

「建築って、本当に難しいんだなと思いました」
家づくりを振り返りながら、恵菜さんはそう話します。

敷地には限りがあり、予算にも、法規にも、暮らし方にも条件があります。
とりわけ、柱や梁をあらわしにする坂元植林の家では、空間のつくり方と構造の考え方を切り離すことができません。美しさと暮らしやすさの両方を大切にしながら、そのなかで何を優先し、何をあきらめずに残すのか。家づくりには、一筋縄ではいかない難しさもあります。

打ち合わせでは、お二人が大切にしたいことを共有しながら、一つずつ形にしていきました。

「相談するとその場ですぐにスケッチしてイメージを共有してくださって、安心感がありました」
営業と設計の担当が一貫していることも、ご夫妻にとっては大きな安心材料だったそうです。

設計着手前から重ねてきた会話や、ご家族が大切にしたいことが、プランにも丁寧に引き継がれていきました。

土地の条件、宮崎様ご家族の想い、坂元植林の家が大切にしている設計の考え方。その重なりが、今の住まいの形になっています。


庭で過ごすことが、日常になった

住み始めて半年ほど。
宮崎様ご家族の暮らしには、マンションではできなかった時間が増えました。

「最近は、気候もよく外が気持ちがいいので、庭でバーベキューにはまっています」
外に出て、火をおこし、家族や友人と食卓を囲む。特別なイベントではなくても、庭があることで、暮らしの楽しみ方が少し広がります。

これからは雨水タンクも設置する予定とのこと。庭や外まわりの楽しみも、少しずつ増えていきそうです。

室内では、恵菜さんはダイニングの本棚のそばで読書をする時間が増えたといいます。
二階ホールのテーブルも、家族それぞれが本を読んだり、少し落ち着いた時間を過ごしたりする場所になっています。

秀一郎さんには書斎ができ、これまでなかなかできなかったプラモデル作りでエアブラシを楽しめるようになりました。

子どもたちにとっては、自分の部屋があること自体がうれしいこと。

「部屋で何をするわけじゃないんだけど、特別感がある」

何かをしていなくても、自分だけの場所がある。その小さな喜びも、子どもたちの成長とともに、少しずつ変わっていくのだと思います。


木の床や壁が、毎日の感覚になる

「ふと壁に触ったとき、ひんやりしていて気持ちいいんです」

「裸足で歩くのも気持ちいいですね」

住み始めてから感じたのは、木や自然素材の家ならではの、数値では表しにくい心地よさでした。

冬、外出して帰ってきたときにも、家のなかにはほんのりとした暖かさが残っている。

無垢の床に最初の傷がついたときは、少し気になったそうです。けれど、2〜3か月もすると、その傷も含めて床の表情だと思えるようになりました。

住まいは、完成したときが一番きれいなのではなく、家族が暮らし、少しずつ使い込むことで、その家らしさが育っていくものです。

庭で過ごした時間。子どもたちが走り回った跡。床に残る小さな傷。
それらもまた、宮崎様ご家族の暮らしの風景になっていくのだと思います。


「妻の言うことを聞いて、建ててよかった」

これから家づくりをする人へ向けて、秀一郎さんはこう話してくださいました。
「ご主人も面倒がらずに、ちゃんと打ち合わせに入った方がいいですね(笑)」

家づくりは、間取りや素材を選ぶことだけではありません。家族それぞれが、これからどんな時間を過ごしたいのかを話し合うことでもあります。
「お互いに、何を大事にしたいのかは、ちゃんと話をしました」

回遊できる動線。将来も一階で暮らせる間取り。家族で過ごせる庭。読書をする場所。子どもたちの部屋。

一つひとつは小さな選択ですが、それらが積み重なって、家族にとっての暮らしやすさになっていきます。

そして最後に、秀一郎さんは少し笑いながら、こう振り返ってくださいました。
「結論としては、妻の言うことを聞いて、家を建ててよかったですね。子どもたちが笑いながら走り回っているのを見ると、単純に幸せだなと思います」

恵菜さんにとっては、長く思い描いてきた夢がかなった家。
「思っていた以上の家になりました。毎日ここで過ごせていることが幸せです」

家づくりは、建物を手に入れることではなく、その先にある家族の時間をつくることなのかもしれません。

宮崎様ご家族の住まいは、木の香りや庭の楽しみ、子どもたちの成長、家族の会話を受け止めながら、これから少しずつ、その家族だけの景色になっていきます。

 

書いた人

坂元植林の家 編集部

坂元植林の家 編集部

林業会社を母体とし、森林経営から木材加工、木造住宅の設計施工まで一貫して取り組む工務店として、森林・林業・木造建築・地域の暮らしに関する実務に基づいた情報を発信しています。