ナカもソトも気持ちよく繋がる暮らし

大河原町 菅野ファミリー

「ちょっと湿度が高めの夏の日でも、家の中を素足で歩いていて、本当にさらりとして、気持ちがいいんです」

新しい家に引っ越しをして、ひと夏を経験した菅野雄太さんと祥子さんのお宅を訪ねたのは、9月の初めの光と風が爽やかな日曜日。玄関で出迎えてくれたお二人は、まずは、無垢の杉材の床の感想を伝えてくださいました。

ビニル系の床材やフローリングカーペット、それに合板の板や塗装が施された板と違って、森で育った原木から切り出した無垢の床材は、化学物質を含まない自然素材の中でも、とりわけ、人の五感に優しく響くように思います。

賃貸ではなく、そろそろ自分たちの家を持とう。そう考えて、雄太さんと祥子さんは、家づくりのための情報を集め、土地を探すようになって、1年近くで坂元植林の家への依頼を決めました。

雄太さん「せっかく家を持つなら、注文住宅がいいと思っていたんです。サカモトさんの本社がある町の隣の市に私の実家があって、地元で信頼されている会社だとわかっていたし、困った時に助けてもらえそうだと思えて、それも決め手になりました」
祥子さんは、このままアパート暮らしでもいいかなとも考えていて、基本的には雄太さんに任せるつもりだったそうです。しばらくして、たまたま同じ職場の先輩が、サカモトで家を建てていたことを知り、その方から「アフターフォローがしっかりしている」と聞いて、雄太さんの選択に安心したとのことです。

お二人は、もちろん最初から坂元植林の家、一択だったわけではなく、他の工務店のオープンハウスを見に行ったり、話を聞きに行ったりしていたそうです。他との違いを、どう感じていらっしゃったのでしょうか?
雄太さん「営業色が強いところは苦手なんですが、サカモトさんは、そんなことはなくて、だけど、対応が細やかで良かったです。それから、建物は、純和風の家も選択肢になくて、かといって洋風の家も違うなあと思っていて、流行を追うつもりもなくて・・・、そのあたりの感覚を大切にしたかったのですが、坂元植林の家は、とてもしっくりきたんです」


キッチン、リビング、和室。そして2階の空間との繋がりを大切に。

 

祥子さんが、職場の先輩から聞いていたアフターフォローについて伺ってみました。
祥子さん「引っ越してきて、玄関の引き戸の動きに、少し引っ掛かりを感じまして、ご連絡したところ、すぐに対応してくれて、スムーズに開け閉めできるようになりましたね」
雄太さん「庭の木に虫が出たんですけど、どういう対応をすればいいか素人判断では難しいと思って連絡を入れたところ、すぐに来てもらえて解決しました」

そしてもうひとつ。お子さんの成長に応じてのアフターフォローにも満足されているそうです。

リビングにつながる和室には、雄太さんも祥子さんも、家族の近くでちょっと事務仕事をしたいという時にさっと伝えるように、掘り炬燵のように足を入れることができる座卓のコーナーがあります。取材の時に7ヶ月になっていた一人息子の応太(おうた)くんが、室内で動き回るようになってきて、そこに落ちてしまう可能性も・・・。担当社員から、使わない時には足を入れるところを塞いで、使う時には外せるような「板のふた」を提案してもらい、相談中とのことでした。


リビングから続く和室では、応太くんがお昼寝したり、雄太さんと祥子さんがデスクワークをしたり。風の通り道もデザインした窓の配置で、気持ち良い風が通ります。

 

取材当時、祥子さんは育休中で、日中は、ほぼ応太くんと二人で家や庭で過ごしているとのことで、高い天井と、リビングの大きな吹き抜けの空間がとても気に入っていると語っていただきました。


ついつい眺めていたくなる室内空間

 

祥子さん「アパートに住んでいる時は、家の中にいて自分の家をしげしげと眺めるということはなかったですね。今は、家の中のあちこちを、眺めるのが好きなんです。それだけ心地良さを感じています。住みやすい、使いやすい間取りも気に入っています。例えば、洗濯ものは陽がさす土間スペースに干しているんですが、洗濯機から土間まで、さっと一直線で行けます。毎日のことなので、動きやすくて助かっていますね」


室内の土間スペースと外の下屋空間も連続性を出して、さまざまな用途に使いやすい空間に。
土間には、亀さんのおうちも。

 

家の設計にあたっては、雄太さんと祥子さんから希望したのは、和室の仕事スペースと、洗濯物も干せる土間をつくりたいという、2つだけでした。他は、全て設計士とサカモトの担当社員からの提案を受けながら細かく決めていったそうです。提案の1つが、キッチンスペースの床を、リビングより15cm下げていること。こうすることで、カウンテーテーブルに座った人と、キッチンに立つ人との目線が自然と合うようになります。各部屋、各スペースの繋がりが緩やかに繋がり、家族のコミュニケーションを助ける配慮です。


カウンターは、ちょっとした料理の作業台にも、食卓にも、お茶スペースにも。

 

家の内と外の繋がりづくりは、縁側が担います。南面と、そこから鍵の手に延ばした西面、そして北面の3箇所に檜の材でつくっています。祥子さんは、縁側で応太君を抱っこして日向ぼっこしたり、庭にくるバッタや蝶を一緒に眺めたりしているそうです。雄太さんは、走ることが好きな祥子さんがランニングに出かけた時に、応太さんと縁側で待つこともあるそうです。応太くんが庭で遊べるようになる日も楽しみですね。

また、坂元植林の家は、一般的な住宅より窓が多いことも特徴だと言えます。建築の考え方として、窓を削って開口部を減らすことで断熱性能をアップさせるのではなく、太陽の熱の伝わり方や、光と風の通り道を考えて窓を作ることで、総合的、立体的に、自然環境を取り込みながら快適な家づくりを目指しています。

菅野さんファミリーも、新居で過ごした初めての夏は、とても快適に過ごせたとのことです。
雄太さん「窓を開けると、風の通りが良くて、本当に気持ちいいよね。エアコンは、1階全体に使えるものと、2階の寝室と、2台あるんですが、真夏の間も1階の1台だけで十分でした。それも温度の設定は28度です」


リビングの吹き抜けの2階部分にも、大きな窓があり、その向こうにはベランダが。雄太さんが立っているのは窓に続くキャットウォーク(吹き抜け上部の通路)。

 

雄太さん「暗くなってから帰宅した時にいつも感じるんですが、窓に明かりが灯っている我が家、ちょっといい感じですよ」
雄太さんは、心なしか仕事からの帰宅時間も早くなったそうです。

「これも、住み始めてわかったことですが、サカモトさんの家は、街並みにとても自然によく馴染んでいると思います」


2022年9月取材
取材・文 簑田理香(もりのわ編集部)
写真  佐々木信也